狐の逢引き
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狐の逢引き(富野)
私の親父は昔、木津川の船頭をやっていました。親父の話では、いつも母親が炊いた揚げ飯を弁当に持って行ったそうです。昔は渡しを渡ってこっちへ来るお客さんがあったんです。夜も九時か十時頃まで屋形の舟に乗って。
ある夜、向こうから赤い灯をつけて「オーイ」と呼ぶ声がするんですわ。川の波の音やら舟に川の水があたって、その音が声に聞こえるような感じでね。あわててお客さんやというので、向こう岸に舟を着けたら誰もおらへん。それを何回も繰り返していたんですわ。
結局は一匹の雄の狐が富野の浜におる雌の狐に会いたいために、親父をだまして逢引きしようと思うて寄ろうとするんですわ。そいで何回も繰り返して、しまいに舟の横側にしがみついて渡ったと聞いてます。
それから一週間もたたんうちに、舟で行くと川の浅瀬に大きな鯉が跳ねていたので、竿で叩いて持って帰って近所の人に配ってね。「これは狐のお礼や、恩返しや」て。
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