○城陽市環境基本条例

平成13年12月27日

条例第25号

目次

前文

第1章  総則(第1条―第8条)

第2章  施策の策定等に係る基本方針(第9条)

第3章  施策の総合的かつ計画的推進(第10条―第12条)

第4章  推進施策

第1節 市が講ずる施策(第13条―第21条)

第2節 市民等による環境保全活動を促進する施策(第22条・第23条)

第3節 地球環境保全のため施策(第24条・第25条)

第5章  推進及び調整体制等(第26条―第33条)

附則

前文

私たちのまち城陽は、京都と奈良の中間に位置し、豊かな水や自然の恵みを受け、さまざまな歴史と文化を形づくってきた。

しかしながら、昭和40年代からの急激な人口増加や都市化により、農地や森林の減少、河川の水質汚濁、ごみ排出量の増加、騒音、振動等の環境の悪化が進行してきた。とりわけ、東部丘陵地においては、広大な山砂利採取による市民生活への影響、採取後の土地利用が大きな課題となっている。

一方、近年のめざましい科学技術の進歩と、それに伴う社会経済活動の飛躍的な発展は、私たちを様々な労苦から解放し、物質的に豊かで便利な生活を実現させてきた。しかしながら、このような生活の背景にある大量生産、大量消費、大量廃棄を基本とした社会経済システムは、自然環境や生活環境に様々な負荷を与えるとともに、地球規模の環境にまで大きな影響を与えている。

私たちは、健康で文化的な生活を営むために、良好な環境の豊かな恵みを受ける権利を有している。そして同時に、この恵み豊かな良好な環境を将来の世代に引き継いでいく責務を負っている。

今、私たちは、私たちの生活が環境に負荷を与えていることを自覚し、歴史的、文化的遺産を通して先人たちの生活の知恵に学びながら、自らの生活や行動を環境への負荷の少ないものに変えていき、自然と人との共生を基本とする循環型社会を築いていかなければならない。このような共通認識の下で、「緑と太陽、やすらぎのまち・城陽」の都市像を目指して、市、市民、市民団体及び事業者がパートナーシップにより協力・協働して良好な環境の再生、保全及び創造に努めるとともに、地球環境を視野に入れた持続的発展が可能な社会をつくり上げていくため、市民の総意として、ここに城陽市環境基本条例を制定する。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、良好な環境の再生、保全及び創造(以下「良好な環境の保全等」という。)のための基本理念並びに市、市民、市民団体及び事業者の協力・連携の下でそれぞれが果たすべき責務を明らかにするとともに、良好な環境の保全等に関する施策の基本的事項を定め、これらの施策を総合的かつ計画的に推進することにより現在及び将来の市民が安心・安全で快適な生活を営むことのできる良好な環境を確保することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 環境への負荷 人の活動により環境に加えられる影響であって、環境の保全上の支障の原因となるおそれのあるものをいう。

(2) 良好な環境 現在及び将来の市民が健康を維持し、安心・安全で快適かつ文化的な生活を営むことができる生活環境(人の生活に密接な関係のある財産並びに人の生活に密接な関係のある動植物及びその生育環境を含む。以下同じ。)、自然環境及び歴史文化環境をいう。

(3) 市民団体 主として市民又は事業者により組織された、公益的活動を行う団体をいう。

(4) パートナーシップ 良好な環境の保全等のため、市、市民、市民団体及び事業者が、各々の責任と分担の下で互いに自立し、相互に支え合う関係をいう。

(5) 地球環境保全 人の活動による地球全体の温暖化又はオゾン層の破壊の進行、海洋の汚染、野生生物の種の減少その他の地球の全体又はその広範な部分の環境に影響を及ぼす事態に係る環境の保全であって、人類の福祉に貢献するとともに市民の健康で文化的な生活の確保に寄与するものをいう。

(6) 公害 環境の保全上の支障のうち、事業活動その他の人の活動に伴って生ずる相当範囲にわたる大気の汚染、水質の汚濁(水質以外の水の状態又は水底の底質が悪化することを含む。)、土壌の汚染、騒音、振動、地盤の沈下(鉱物の掘採のための土地の掘削によるものを除く。)、悪臭等によって、人の健康又は生活環境に係る被害が生ずることをいう。

(基本理念)

第3条 良好な環境の保全等は、現在及び将来の市民が良好な環境を引き継いでいけるよう、すべての者の参加及び環境優先の認識の下に行われなければならない。

2 良好な環境の保全等は、豊かな水や緑の自然環境が守り育てられるとともに、自然との触れ合いを深め、自然と人との共生を目指して行われなければならない。

3 良好な環境の保全等は、資源・エネルギーの循環的な利用及びその適正な管理に努めることにより、環境への負荷の少ない循環型で持続可能な社会を実現し、発展させるように行われなければならない。

4 良好な環境の保全等は、市、市民、市民団体及び事業者がそれぞれの役割と責務を明確に認識し、パートナーシップによって行われなければならない。

5 地球環境保全は、地域の環境が地球全体の環境と深く関わっていることから、地域での取組として行われるとともに、広域にわたるものについては、周辺地域、関係機関等と広域的国際的に協力・連携して取り組まれなければならない。

(市の責務)

第4条 市は、前条に規定する良好な環境の保全等についのて基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、良好な環境の保全等に関する基本的かつ総合的な施策を策定し、及び率先して実施しなければならない。

2 市は、基本理念にのっとり、環境に影響を及ぼすと認められる施策の策定及び実施に当たっては、良好な環境の保全等について配慮しなければならない。

3 市は、前2項に規定する施策の策定及び実施に関する必要な情報を適切に提供し、又は公開するように努めなければならない。

(市民の責務)

第5条 市民は、基本理念にのっとり、日常生活において、資源・エネルギーの有効利用、廃棄物の減量等により、環境への負荷の低減に努めなければならない。

2 前項に定めるもののほか、市民は、基本理念にのっとり、良好な環境の保全等に関する活動(以下「環境保全活動」という。)に取り組むよう努めなければならない。

(市民団体の責務)

第6条 市民団体は、基本理念にのっとり、環境への負荷の低減及び環境保全活動に努めるものとする。

2 市民団体は、基本理念にのっとり、自らの環境保全活動を推進するために、市民への情報提供及び市民の参画又は学習の機会の提供に努めるものとする。

(事業者の責務)

第7条 事業者は、基本理念にのっとり、その事業活動を行うに当たっては、良好な環境を阻害することのないよう、自らの負担と責任において必要な措置等の対策を講ずるとともに、環境保全活動に取り組まなければならない。

2 事業者は、基本理念にのっとり、その事業活動に係る製品その他の物が廃棄物となった場合にその適正な処理が図られることとなるように、必要な措置を講じなければならない。

3 前項に定めるもののほか、事業者は、基本理念にのっとり、資源・エネルギーの有効利用、廃棄物の減量等により、環境への負荷の低減に努めなければならない。

4 事業者は、基本理念にのっとり、良好な環境に配慮した事業活動を継続的に推進するとともに、環境マネジメントシステム(環境に配慮した事業の仕組みや手順をいう。)の構築に努めなければならない。

(各主体の協働)

第8条 市、市民、市民団体及び事業者は、前4条に規定するそれぞれの責務を果たすための環境保全活動等において、パートナーシップの理念に基づき協働していかなければならい。

第2章 施策の策定等に係る基本方針

第9条 市は、基本理念にのっとり、良好な環境の保全等に関する施策を策定し、及び実施するに当たっては、次に掲げる事項を基本として、各種の施策相互の有機的な連携を図りつつ、総合的かつ計画的に推進するものとする。

(1) 人の健康が保護され、及び生活環境が再生、保全及び創造されるよう、大気、水、土壌等が良好な状態に保持されること。

(2) 生態系の多様性の確保、野生生物の種の保存その他の生物の多様性の確保が図られるとともに、森林、緑地、水辺等における多様な自然環境が再生、保全及び創造されること。

(3) 自然との豊かな触れ合いを確保するとともに、緑化が推進され、並びに地域の個性を生かした都市景観が形成され、並びに歴史文化環境が再生、保全及び創造されること。

(4) 地球環境保全に資する環境への負荷の低減が可能となるような循環型社会を構築するため、資源・エネルギーの循環的な利用、廃棄物の発生の抑制等を積極的に推進すること。

第3章 施策の総合的かつ計画的推進

(環境基本計画)

第10条 市長は、良好な環境の保全等に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、環境基本計画を定めなければならない。

2 環境基本計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。

(1) 良好な環境の保全等に関する目標及び総合的な施策の大綱

(2) 前号に掲げるもののほか、良好な環境の保全等に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項

3 市長は、環境基本計画を定めるに当たっては、あらかじめ市民、市民団体及び事業者の意見を反映することができるように、必要な措置を講じなければならない。

4 市長は、環境基本計画を定めるに当たっては、あらかじめ第26条に定める城陽市環境審議会の意見を聴かなければならない。

5 市長は、環境基本計画を定めたときは、遅滞なくこれを公表しなければならない。

6 前3項の規定は、環境基本計画の変更について準用する。

(実行計画等)

第11条 市長は、前条の環境基本計画を推進するため、その取組を率先して実行するための行動計画(以下「実行計画」という。)を定めなければならない。

2 市は、環境に影響を及ぼすと認められる施策を策定し、実施するに当たっては、環境基本計画、実行計画等との整合を図るものとする。

(年次報告等)

第12条 市長は、環境基本計画、実行計画等の適正な進行管理を図るため、市域の環境の現状、良好な環境の保全等に関する施策の状況等について年次報告書を作成し、これを公表しなければならない。

2 市長は、前項の規定により公表した年次報告書に対して、市民、市民団体及び事業者の意見を聴くために必要な措置を講じなければならない。

第4章 推進施策

第1節 市が講ずる施策

(規制措置)

第13条 市は、公害を防止するため、必要な規制の措置を講ずるものとする。

2 前項に定めるもののほか、市は、環境の保全上の支障を防止するため、必要な規制の措置を講ずるように努めるものとする。

(経済的措置)

第14条 市は、市民、市民団体及び事業者が環境への負荷の低減を図るための施設の整備その他の良好な環境の保全等に資する措置を採ることを助長する必要があるときは、適正な助成その他の措置を講ずるように努めるものとする。

2 市は、環境への負荷の低減を図るため、市民、市民団体及び事業者への適正な経済的負担の措置について調査及び研究を行い、特に必要があるときは、当該措置を講ずるように努めるものとする。

(公共的施設の整備等)

第15条 市は、緩衝地帯その他の環境の保全上の支障を防止するための公共的施設の整備及び下水道、廃棄物の処理施設その他の環境の保全上の支障の防止に資する公共的施設の整備を推進するため、必要な措置を講ずるものとする。

2 市は、公園、緑地その他の公共的施設の整備その他の自然環境の整備を推進するため、必要な措置を講ずるものとする。

(自然環境の保全等)

第16条 市は、生物の多様性の確保が図られるとともに、多様な自然環境が再生、保全及び創造されるように、必要な措置を講ずるように努めるものとする。

(資源の循環的な利用等の促進)

第17条 市は、環境への負荷の低減を図るため、市民、市民団体及び事業者による資源・エネルギーの循環的な利用、廃棄物の発生の抑制等が促進されるように、必要な措置を講ずるものとする。

2 市は、環境への負荷の低減を図るため、市の施設の建設及び維持管理その他の事業の実施に当たっては、資源・エネルギーの循環的な利用、廃棄物の発生の抑制等に努めるものとする。

(東部丘陵地の環境への配慮)

第18条 市は、市域の東部に位置する丘陵地において、土地の形状の変更、工作物の新設その他これらに類する事業を行う事業者に対し、良好な環境の保全等に向けた必要な措置を講ずるものとする。

(環境影響評価)

第19条 市は、環境に著しい影響を及ぼすおそれのある事業を行おうとする者が、その事業の実施に当たりあらかじめ環境への影響について自ら適正に調査、予測及び評価を行い、その結果に基づき、良好な環境の保全等について適正に配慮することができるように、必要な措置を講ずるものとする。

(事業者との協定)

第20条 市長は、事業活動に伴う環境への負荷の低減を図るため特に必要があるときは、事業者との間で環境への負荷の低減に関する協定を締結することができる。

(環境への負荷の低減に資する製品等の利用促進)

第21条 市は、環境への負荷の低減に資する製品等の積極的な利用に努めるとともに、市民、市民団体及び事業者による当該製品等の利用が促進されるように、必要な措置を講ずるものとする。

第2節 市民等による環境保全活動を促進する施策

(環境学習及び環境教育の推進)

第22条 市は、市民、市民団体及び事業者が良好な環境の保全等についての理解を深めることにより、環境に配慮した生活及び行動が促進されるように、環境に関する学習及び教育を推進するものとする。

(市民等の自発的な活動の促進)

第23条 市は、市民、市民団体及び事業者による良好な環境の保全等に関する自発的な活動が促進されるように、必要な措置を講ずるものとする。

第3節 地球環境保全のための施策

(地球温暖化の防止等に関する施策の推進)

第24条 市は、地球環境保全に資するため、地球温暖化の防止、オゾン層の保護等に関する施策を積極的に推進するものとする。

(地球環境保全に関する国際協力等の推進)

第25条 市は、地球環境保全に資するため、国際機関、国、他の地方公共団体その他の関係機関等と連携し、地球環境保全に関する国際協力等の推進に努めるものとする。

第5章 推進及び調整体制等

(環境審議会)

第26条 地方自治法(昭和22年法律第67号)第138条の4第3項及び環境基本法(平成5年法律第91号)第44条の規定に基づき、城陽市環境審議会(以下「審議会」という。)を置く。

2 審議会は、市長の諮問に応じ、次に掲げる事項の調査審議を行う。

(1) 環境基本計画に関すること。

(2) 前号に掲げるもののほか、良好な環境の保全等に関する基本的事項

3 審議会は、良好な環境の保全等に関する基本的事項に関し、市長に意見を述べることができる。

4 審議会は、委員10人以内で組織する。

5 委員は、次に掲げる者のうちから市長が委嘱する。

(1) 市民団体の代表者

(2) 学識経験を有する者

(3) 関係行政機関の職員

(4) その他市長が必要と認める者

6 委員の任期は、2年とし、再任を妨げない。

7 委員に欠員が生じたときは、補欠の委員を置くことができる。この場合における委員の任期は、前任者の残任期間とする。

8 前各項に定めるもののほか、審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、市長が別に定める。

(市民等の施策への参加)

第27条 市は、市、市民、市民団体及び事業者が地域の良好な環境の保全等及び地球環境保全に関して、パートナーシップによりその施策等を推進するため、必要な措置を講ずるものとする。

(施策の推進体制の整備)

第28条 市は、良好な環境の保全等に関する施策の調整を図るとともに、その施策を積極的に推進するための体制を整備するものとする。

(調査及び研究の実施)

第29条 市は、環境の状況の把握、環境の変化の予測又は環境の変化による影響の予測に関する調査その他の良好な環境の保全等に関する施策の策定等に必要な調査及び研究に努めるものとする。

(監視等の体制の整備)

第30条 市は、環境の状況を的確に把握し、良好な環境の保全等に関する施策を実施するため、必要な監視、測定、試験及び検査の体制の整備に努めるものとする。

(国及び他の地方公共団体との協力)

第31条 市は、市の区域外に及ぶ環境への負荷の低減に努めるとともに、良好な環境の保全等のために広域的な取組を必要とする施策については、国及び他の地方公共団体と協力して、その推進に努めるものとする。

(一時滞在者等の協力)

第32条 本市に一時滞在等する者は、基本理念にのっとり、良好な環境の保全等に努めるとともに、市が行う良好な環境の保全等に関する施策並びに市民、市民団体及び事業者が行う環境保全活動に協力するものとする。

(その他)

第33条 この条例の施行に関し必要な事項は、市長が別に定める。

この条例は、平成14年(2002年)4月1日から施行する。

城陽市環境基本条例

平成13年12月27日 条例第25号

(平成14年4月1日施行)

体系情報
第8編 生/第4章 環境保全
沿革情報
平成13年12月27日 条例第25号